最近趣味にしているはてなダイアリー巡りをしていたら、気になる記事を見つけました。柳沢伯夫厚生労働大臣の「産む機械」発言に関するエントリーで、海外プレスの記事を引いて大臣を批判している内容なのですけど、翻訳がちょっとおもしろい。これです。
- 柳沢大臣トンデモ発言続報 (nohalfのメモ)
念のために最初にお断りしておくと、僕の記事は、柳沢大臣の発言や、あるいは発言に対する反応に対して、なんらかの意見を表明するものではありません。ただの言葉遊び(それも真の意味での言葉遊び)です。
上のエントリーでは、オーストラリアの新聞、The Australianに掲載された記事が引用されています。新聞記事の見出しは、"Japan PM backs 'birth-machine' minister."
筆者のnohalf氏は、これに対し、
こうした厚生労働大臣がいること自体が日本にとって恥ですが、さらにこうした大臣をかばい(backs)、罷免を拒否するprime minister(総理大臣)も世界中の笑いものです。即刻辞任して新しい大臣に仕事を任せるべきです。
と意見を表明しています。ここで"backs"が「かばう」と訳されているのが面白い。
文意からすると、ここに「かばう」という訳語を当てはめるのは、決して間違いじゃありません。わりとぴったり来ていると思う。でも、日本語の「かばう」は、自分が矢面、つまり前面に立って、後ろにいる相手を守っているイメージですよね。ところが、英語動詞の"back"は、これとは前後関係がまったく逆で、後ろから支えたり、あるいは背面を守ることが"back"なんです。
"The Prime Minister is backed by the civic movement"と言えば、首相がcivic movementの後押しを受けていることだし、"a singer is backed by a band"と表現したら、バンドが歌手の伴奏しているという意味です。日本語でもバックバンドって言いますよね。
競馬のような賭け事の文脈で"back"が使われることがあるけど、これは、ある人が、対象が競争に勝つと信じることで、たいていは対象にお金を賭けることを言います。たとえば"he backed the horse at 33-1"とか。この場合、賭け率が33対1とかなり分が悪いので、穴馬にお金を賭けたことになります。本の裏打ちをすることや、鏡の背面に装飾をつけることも"back"です。
というわけで、たぶん訳語としては、「支援した」「支持した」「後ろ楯になった」のほうがより正確でしょう。イメージとしては、退路を断たれて孤立しないように背面を守ったという、モラルサポート(えーと、志気の意味のモラルね)的な意味合いが強いと思われます。雰囲気が出ているから、「かばう」でも悪くないと思うんですけどね。
参考
- Japan PM backs 'birth-machine' minister (The Australian)