僕はブログスフィアの辺境で誰ともかかわり合いにならずに日がな一日のんびり茶をすすっているだけの人間なので、扱われている話題そのものにはたいして興味がないのですけど、はてなブックマークで見つけた話題に、翻訳的な観点からコメント:
- オライリーがブログエチケット「Blogger's Code of Conduct」を提唱 (ガ島通信)
- Blogger's Code of Conduct (Blogging Wikia)
1. We take responsibility for our own words and reserve the
right to restrict comments on our blog that do not conform to our
standards.
文面はガ島通信に引用されたときからちょっと変わっちゃってますが、これは、前段は他人のブログにコメントする際の心構え、後段は自分のブログに寄せられたコメントに対する心構えを述べているんだと思います。だからちょっと繋がりが分かりにくいんだけど、どちらもブログに対する攻撃的なコメントが念頭にあるんでしょう。
この場合の"reserve"は「使わない」という意味ではなくて、「確保しておく」「残しておく」くらいの意味。解説部分では"we will delete unacceptable comments" と、コメントを削除することがはっきりと唱われています。濫用はしないけれど、カードとしてはいつでも使えるように持っておくというニュアンスでしょうか。
「1. 我々は自分の言葉に責任を持ち、自分のブログに寄せられた、倫理にそぐわないコメントを制限する権利を持ちます。」
2. We won't say anything online that we wouldn't say in person.
「2. 面と向かって言えないようなことは、オンラインでも言いません。」
3. If tensions escalate, we will connect privately before we respond
publicly.
ブログスフィアで衝突や誤った記載を見つけたら、私的に話すか、その人と直接会って話すか、そのための仲介者を見つけるために努力しましょう、と解説されています。向こうには仲介者を見つけるためのmediate.comなるサービスまであるのだそうで。
「3. 緊張が高まったら、公の場で反応する前に私的に接触をとります。」
4. When we believe someone is unfairly attacking another, we
will take considered action.
攻撃を見つけたときの第三者としての心構えを説いた項目。"Considered action"は、煽りに乗ってフレームに参加しないよう注意深く行動する程度……なのかと思いきや、解説を読むと、攻撃的なコメントを見つけたときに、投稿者に(もし可能なら、前の項目で触れられているように、私的に)接触を取って、公式に訂正するように要求したり、コメントが脅迫または違法な性質を備えていると解釈でき、コメント主が撤回も謝罪もおこなわない場合は、警察に連絡することを指しているそうです。シリアスだ。
「4. 誰かが別の誰かを不当に攻撃していると感じたら、よく考えたうえで行動します。」
5. We do not allow pseudonymous comments, but will allow
anonymous ones.
ディスカッションページですごく盛り上がっている話題。過去のバージョンでは、"We do not allow anonymous comments"または"We do not allow pseudonymous comments"と、匿名を全否定しながら用語だけ入れ替わっていたり、"We do not allow anonymous comments, but will allow pseudonymous ones"と、用語の使いかたが逆だったりするので、ネイティブの人たちの間でも、anonymousとpseudonymousがなにを指すのか、意味の把握にぶれや混乱があるようです。たぶん、この項目は将来的にいろいろ弄られそうな予感。
ともかく、ここでのキモは匿名コメントを許すかどうか。最初は全否定だったのが、「いや、匿名の意見も役に立つ」という主張を受けて、段階的に後退している真っ最中です。アメリカでは、偽名で出版された小冊子コモン・センスが、イギリスの圧政を批判し、独立戦争への気運を高めていったという経緯があるせいで、マイノリティが危険にさらされずに言論の自由を行使する手段としての匿名または偽名は、日本よりもはるかに真剣に擁護されます。
ここでの根底にあるのは、匿名は許すが自己同一性は確保されるべきだ、という議論じゃないかな。つまり、Aという匿名さんはいつでもどこでもAさんであって、別の匿名Bさんのふりをしてはいけません、そのために追跡できる電子メールアドレスまたはOpenIDのような仕組みを利用しましょう、ということじゃないかと。
「5. 我々は偽名のコメントを許しませんが、匿名のコメントは許容します」
6. We ignore the trolls.
"Troll"はUSENET時代からのジャーゴンで、荒らし行為または荒らしをする人のこと。元々の意味は釣りのトローリングから来ているので、今ならそのまま「釣り」と訳して意味が通じるケースも多そうです。("Trolling"の意味は荒らし全般に拡大されているので、「釣り」の範疇に入らない無意味なコメントの投稿なども"troll"と呼ばれます)
「6. 荒らしは無視します。」
7. We encourage blog hosts to enforce more vigorously their terms of
service.
"Terms of Service"はサービス利用規約のことで、よくToSと略されます。ブログ運営会社の規約には、たいてい「差別的や攻撃的な内容を含むブログはサービス停止する」云々の項目があるのに、実際にはそれらの内容を含むブログが放置されていることに対する批判なのでしょう。
「7. 我々は、ブログ運営会社が、サービス利用規約をより厳格に適用することを望みます。」
全体的に見るとわりとシリアスかつソーシャルですね。日本に多い、匿名掲示板 vs 個人のブログ、という構造じゃなくて、ブログ vs ブログ の構造が念頭にある感じです。