Soren Johnsonの語る「ゲームデザイン時にすべきでない8つの悪癖」 後編

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【こんなのどうでしょう?】アンパンマン はじめてのパソコンだいすき
ジャンル:
Game, Sid Meier's Game, SimCity & Spore
シリーズ:
Civilization IV/Civ4情報, Spore/スポア情報
種類:
データ/資料
最終更新:
2007年09月03日 17時25分
シリアル:
2007-09-03-03

こないだの紹介した、Civilization IVのリードデザイナーSoren Johnson氏による、ゲームデザイン時に避けるべき悪癖8つと、その理由の解説。残りの4つの悪癖に関する記事が掲載されました。

抜粋

5. コード/データを隠す (Hidden code/data)

コードやデータを守りたいと考えるのは、非常に自然な衝動だ。あなたはプロジェクトに何年も携わって、ユニークな機能を開発し、ジャンルの境界を押しひろげようと努力して来たのだから。ゲームの内臓をあけっぴろげにするのは、多くの開発者にとって困難な一歩だ──特に、重役連中にとっては。

にもかかわらず、一年以上前、我々はCiv4のゲーム/AI部分のソースコードを公開した。そして──今までのところ──結果はすばらしいものだ。拡張パックBeyond the Sword(訳者:情報まとめ)には、Derek Paxton氏のFall from Heaven: Age of Ice, Gabriele Trovato氏のRhye's and Fall of Civilization, そしてDale Kent氏のWWII: The Road to Warという3本のファン作成modが収録されており、これらは拡張パックにおける最大の目玉のひとつとして、メディアで喧伝されている(→例1/例2)。もし我々がソースコードを公開していなかったら、これらのmodは、これほど奥深く魅力的なものに決してなり得なかっただろう(あるいは、そもそも存在すらしていなかったかもしれない)。

この話は、多くのPCデベロッパーにとって釈迦に説法かもしれない。だから、私はあるジャンルにだけ対象を絞りたい。──戦略ゲームに。どういうわけか(idのような、先駆けとなるデベロッパーが居なかったせいだろうか?)、ストラテジーの開発者たちは、シューターやRPG界の同胞たちに比べて、modに対して非常に閉鎖的である。

もちろん、WarCraft 3にすばらしいシナリオエディタを付けたBlizzardのような例外もある。しかし、概して、戦略ジャンルのmod作成者たちは、活躍の場所を十分にあたえられていない。このことは、我々が、Civ4はmodによる可変性に重点を置くべきだと考えた理由のひとつだった。無料で大盤振る舞いするのは気持ちが良いものだし、粋でもある。

6. 病的な海賊版対策 (Anti-piracy paranoia)

海賊版が我々の業界にあたえる損害を算出することは不可能だが、無視することもできない。コピープロテクション皆無で製品を出荷できる、Brad Wardell氏のような勇気ある社長はほとんどいない。したがって、カジュアルコピーを防止するためにある種の仕組みを組み込むのは既定事項である。既定事項でないのは、ただゲームを始めるためだけに、会社はどれだけの困難を顧客に強いるべきか、である。これらのプロテクションについて考えるとき、最も重要な質問はひとつだ──「この追加したセキュリティは、実際に売り上げを増加させるだろうか?」

たとえば、寛容になって良いケースに、局所的なマルチプレイがある──言い換えると、ディスクを持っていないプレイヤーが、正規品を保有するホストが主宰するマルチプレイに参加できるようにすべきか、という問題だ。Starcraftには、LANマルチ対戦にのみ参加できる限定的なクライアントを「増殖」("spawn") させる機能があった。(興味深いことに、Ticket to Ride乗車券)のネット版も同じモデルを採用している。ゲームに参加するのはいつでも無料だが、ゲームをホスト出来るのは料金を支払ったプレイヤーだけだ)

無制限のLAN対戦は、Civ4における我々の非公式ポリシーでもあった。ゲームはEXEファイルの起動時にディスクをチェックするが、ゲームを実際にローンチする際にはチェックしない。だから、友人で集まってマルチ対戦をする際には、1枚のディスクを回して使うだけで良い。

我々には、まれにLANパーティで対戦するだけのために、プレイヤーが追加のディスクを購入したがるとは思えなかった。それよりも、新しいプレイヤーが、それらのイベントで、すでにファンである友人から薦められてCivに触れる機会を尊重したいと思った。いつか、彼らにも、シングルプレイで遊びたいと思う日が来るかもしれない──CD-ROMはそのときに購入してもらえば良いじゃないか。

7. 力学のブラックボックス化 (Black box mechanics)

Black & Whiteが開発中だった90年代後半のいつ頃からか、インタフェイスを持たないゲームという概念が流行し始めた。より大規模なメインストリーム層がゲームを敬遠する理由はインタフェイスにある、というのがその理念だ。それ以来、ゲームの力学をプレイヤーから隠そうとするトレンドが顕著である。1999年に発売されたAge of Kingsには、ゲームに登場するすべてのコストや有用性、修正因子などを一覧にしたすばらしいリファレンスカードが付属していた。しかし、最近のRTSは、マニュアルになにか数字が書いてあればマシなほうである。

私がここで主張したいのは、透明性の名の元に、プレイヤーを複雑な数式漬けにしろと言うことではない。デザイナーはインタフェイスを二層に分けて考えるべきなのだ。つまり、教育レベルと参照レベルに。教育レベルは、戦車の建設方法や悪い奴の倒しかたなどの基礎を知る必要がある、はじめてゲームで遊ぶプレイヤーに重点を置いたもの。参照レベルは、ゲームの力学がいかに働いているか、プレイヤーが思いつくすべての質問に答えるもの。シヴィロペディアのように、ひとつのゲーム内リソースにふたつのレベルを同居させても良い。

Rise of Legendsは、この二層インタフェイスのアイディアを面白い方法で実装している。大部分のポップアップヘルプには、あるキーを押すことで解禁できる「上級」モードがあって、ゲームの水面下で流れる力学のかなりの詳細を教えてくれるのだ。

8. 間違ったところにストーリー要素を入れる (Putting story in the wrong places)

7つだけで終わりにして、ストーリーに関する話はやめておこうかとも思った。これがいちばん議論を呼びそうなポイントだと分かっているからだ。たくさんの人々が、ゲームにおける物語の重要性に関して、私に異議を唱えるだろう。だからあらかじめ言っておくが、私は自分が間違っていることを知っている。

それでもあえて言わせてもらうと、私はゲームに入れられたストーリー要素が好きじゃないし、退屈な挿入ムービーも好きじゃない。ステレオタイプなキャラクターも嫌いだし、プレイヤーがまったく関与できないプロットも嫌いだ(それに、悪いけど、Biowareがよくやる、君は神にも悪魔にもなれるタイプの派生系も同類だと思う)。特に、早送りの出来ない下らない会話でゲームの進行が止まるのがたまらない。(誰のことを言っているかわかりますね、日本の皆さん?)

しかし、私が本当に我慢ならないのは、ストーリーが本来属するべきでないところにまでくっつくことだ。たとえば、戦略ゲームに。

そもそも、戦略ゲームはゲームの起源である。人類はまずバックギャモンやチェスや碁の中にゲーム性 (gameplay) を見いだしたのであり、戦略ゲームは高潔な伝統を持っている。戦略ゲームにおける「物語」とは、ゲームそのものだ。RTSのキャンペーンにストーリーを付け加えるのは、パイの中にハムレットの脚本をぶち込むようなものだと私は思う。たしかにハムレットはすばらしい戯曲だ。しかし、それが無くても、私のパイは十分に美味しい!

別の言いかたをしよう。Rise of Legendsは素晴らしいゲームだ。しかし、彼らがストーリーベースのキャンペーンをあきらめて、代わりにRise of Nations型の世界征服モードを継続採用していたら、どんなにか素晴らしい作品が出来ていただろうと、私は考えずにはいられない。

皮肉なことだが、私がRoLのプレイ方法でいちばん好きなのは、このキャンペーンモードである。テクノロジーや上級ユニットをミッションとミッションの間にある戦略マップでしか入手できないため、RTSのコア部分が単純化されるのが好きなのだ。だが、私は、ストーリーがあるにも関わらずキャンペーンを楽しんでいるのであって、ストーリーがあるから楽しんでいるのではない。

私が言いたいのは、Big Huge Games は、ストーリーを追いかける代償として、RTSの優れたコア部分とシンプルで包括的な戦略レイヤを調和させて無限にリプレイ可能なものを作る、大きな機会を逸したということだ。彼らだけではない。なぜかは分からないが、ほとんどすべてのRTS開発者が、おなじ落とし穴に落ちているように思われる。

参考